マイクロリアクター内における
高効率界面反応プロセスの構築
マイクロ流体デバイスは、一般に幅が数十から数百mmの流路を持ち、このマイクロチャネル内では流体は層流で流れる。また、比表面積が大きい、溶質分子の拡散距離が短い、などの特徴を有することが知られている。通常スケールの反応容器と比較してマイクロ流体デバイスは格段にサイズが小さいため、本装置を化学合成に用いた場合、使用する試薬の量を大幅に削減可能である。このことは環境への負荷も軽減可能なことを意味している。また、化学プロセスの並列化・ハイスループット化が容易となる。そこで我々は、マイクロ流体デバイスの大きな比界面積を利用し、マイクロ流体デバイス内で液液界面反応を検討した。
Fig. 1に用いたマイクロ流体デバイスの概略図を、またFig. 2にこのマイクロ流体デバイス内での水・ヘプタン二相流の様子を示す。マイクロチャネル内出口側分岐においては、チャネル表面の部分疎水化によりチャネル内での完全な分相に成功した。
このマイクロチャネル内二相流を利用して、クロロフェノールの二相系酵素分解や金属イオンの液液抽出を行い、通常の反応器と比較して短時間で高い反応率あるいは抽出率が得られた(Refs.1-6)。
参考論文
- T. Maruyama, T. Kaji, T. Ohkawa, K. Sotowa, H. Matsushita, F. Kubota, N.
Kamiya, K. Kusakabe, M. Goto, Intermittent partition walls promote solvent
extraction of metal ions in a microfluidic device. Analyst 129, 1008-1013
(2004).
- T. Maruyama, H. Matsushita, J. Uchida, F. Kubota, N. Kamiya, M. Goto, Liquid
membrane operations in a microfluidic device for selective separation of
metal ions. Anal. Chem., 76, 4495-4500 (2004).
- 丸山達生、内田純一、大川朋裕、久保田富生子、神谷典穂、後藤雅宏、マイクロ流体デバイスを用いたオリゴペプチドの固相合成,化学工学論文集、30, 180-182 (2004).
- T. Maruyama, J. Uchida, T. Ohkawa, T. Futami, K. Katayama, K. Nishizawa, K. Sotowa, F. Kubota, N. Kamiya, M. Goto, Enzymatic degradation of p-chlorophenol in a two-phase flow microchannel system. Lab on a Chip, 3, 315-319 (2003).
- F. Kubota, J. Uchida, M. Goto, Extraction and Separation of Rare Earth Metals by A Microreactor. Solv. Extr. Res. Devel. Jpn, 10, 93-102 (2003).
- 道添純二、篠原謙治、丸山達生、後藤雅宏、草壁克己、前田英明、マイクロ-バイオリアクターによる環境汚染物質の分解、化学工学論文集、82-86 (2003).
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